【瀬長邸情報】
所在地:北谷町
規模:RC造2階建て
間取り:5LDK(LDK+和室1部屋+洋室3部屋+寝室)
―(取材時)2010年6月の状況
居住者:70代のご夫婦+40代の長男
居住年数:3ヶ月弱
70代で建てた3度目の住まいは、バリアフリーやオール電化という大きなものから、寝室にお手洗いを置くなど細かいものに至るまで、将来を見据えた工夫が施されている。初めて設置した対面式キッチンが夫婦の会話を増やして、これからの日々も穏やかに暮らしていけそう。
瀬長邸のある一帯は住宅街で、徒歩5分圏内には総合病院、歯科医院、皮膚科、飲食店、エンターテイメント施設もあり、とても利便性の高い地域。ただ、すぐ北側に嘉手納基地があるので、補助金を活用して防音対策を施してある。
【3度の新築】
<1度目の新築>
「最初に家を建てたのは、22歳~23歳の頃です。計画は母親任せでしたが、資金は自分で出して、親戚の大工さんにお願いしました。あの頃は大工さん任せなので、設計図がないから自分でイメージをしました。あの頃はセメント瓦が流行っていて、沖縄市の借地に木造平屋建てを建てました。組立て始めてから、1日で建ちましたよ。
その家は、2度目の新築時に家内の妹に譲って、現在は別の人が購入して住んでいます」。
<2度目の新築>
「30代の頃で、子供が2歳~3歳でした。1968年当時に、坪1万円の土地を114坪購入しました。今だと、通常の不動産売買価格で、坪28万~29万はするはずです。
長田設計の設計士が遠い親戚にあたるので、そこにお願いしてRC造の2階建てを建てました。RC造にしたのは、強風が直に吹く場所だったことと、借り入れ金額が木造よりも高く設定されていたので決めました」。
2度目の家は、県道24号線の拡張工事のため立ち退きを余儀なくされた。
<3度目の新築>
「北谷町が所有していた土地を購入して、キシモト建築設計室に設計を依頼しました。所長の岸本本秀さんは、北谷町まちづくり研究会の会長をしていたので、会合で顔を併せる機会が多かったんです。それに、彼は公共工事も手掛けているし、住宅の実績もあったので信頼できました。
実を言うと最初は、8割がたハウスメーカーに決まっていました。ところが、雨水タンクが設置できないことが分かって止めたんです。沖縄は、以前断水が多かったでしょう。また何時断水がくるかわからない。それに、今の家に引っ越す前は、もっと植物があったので、水道代が馬鹿にならなかったんですよ。だから、最終的に設計士さんへ依頼しました」。
【購入する土地は、琉球風水にも気を配る】
仏壇を継承する立場にある瀬長さんご夫妻は、購入する土地に関して充分な注意を払うべく、三(さん)世(じん)相(そう)(占い師)のアドバイスに従いながら、結果的に新築まで3年という時間をかけた。
(ご主人)
「沖縄では“物(むん)習(なれ)~しにいく”と言うでしょう。三世相のところに行って“方位が家族の運勢と合うか”“引っ越し日はいつが良いか”等を聞きにいくんですよ。年(とぅし)穴(あな)というのがあって、それが一番怖いよ。それを無視して、亡くなったという人の話を聞いたことがあるし、後で気づいて建築途中でストップしたという話も聞いたことがありますよ」。
(奥さん)
「2度目に家を建てた時は自分達の土地だったし、子供が2歳~3歳で私達は30代でした。あの頃は、信じていませんでしたよ。若かったんでしょうね。この年(70代)で3度目の新築をすることになって、初めて三世相に見て貰いました。購入する土地だったので、敢えて知る必要もあったんですよね。信じるか信じないかは置いといて、“良い”と言われたら安心ですよね」。
一家に合う方角や日取りは、干支から導き出される。悪くても変更がきかない場合は、良い方向へ運ぶ対策方法を教えてくれるという。
【沖縄の引っ越しは,火(ひ)ぬ神(かん)(火の神様)とぬす・まーす(味噌・塩)から】
古来より日本全国の台所に存在していたと言い伝えられている火(ひ)ぬ神(かん)(火の神)。沖縄では、現在もその習わしが続いていて、旧暦の1日と15日は花木や盛り塩を取りかえて、日々の感謝や願いごとをする。
(ご主人)
「火(ひ)ぬ神(かん)は台所に祀られている火の神様ですよね。味噌と塩は、生きていくために人間が必要なものとして考えられていたものです。引っ越しに適した日に移動することが難しい場合は、火ぬ神と味噌、塩だけを置いてきます。先に火の神様を・・・・・(うんちけー)(ご招待する)するわけですね」
【LDKと和室を隣接させて開放的に】
14畳の広いLDKと6畳の和室が隣接していることで、広い空間を実現。通常より大きくとられた窓枠と、屋根の傾斜に沿って形どられた和室の天井が、より一層の開放感を与えてくれる。
「以前の家は、台所が8畳あって広かったんだけど、個室になっていたから料理中に話ができませんでした。それに、料理を運んでくるのも大変でしょう。だから、今度はつなぎにしたいと思っていました。そうすることで、リビングにいる人と話すこともできます」。利便性を考えたキッチンの配置は、開放的な空間の実現にも繋がったよう。
<ひと工夫された和室>
<ひと工夫された仏壇>
【周辺環境を利用して風や光を入れる】
最初の木造と2度目のRC造を経て、木造の涼しさを実感するも、3度目をRC造にしたのには、強風が直に吹く土地で耐久性を重視したから。設計上の計算で風をコントロールすることで、暑いというRC造のデメリットは払われた。
風のコントロールはさることながら、光のコントロールにも抜かりがない。当初の計画になかった吹き抜けは、明るい家を希望したご主人の判断で、向いにある水銀灯や街灯を活用したいという提案もご主人から。午後7時まで電気をつけなくても生活できるほど、自然環境や周辺設備から光を取り入れる工夫がなされている。
【将来を見据えた工夫】
5LDKの室内に設けられたお手洗いは、1階の玄関横と2階、寝室の3ヵ所。室内はバリアフリーにして行き来のし易い環境を作った。
また、オール電化にしたことで、自分達の安心だけではなく、離れて暮らす子供達の安心に繋がった。料理が終わるとアナウンスで教えてくれて、3時間以上つけっぱなしにすると自動的に消えるという。
ご主人曰く「初期投資には費用がかかりますが、長い目でみればオール電化にした方が良いですよ。お勧めです」。コスト面を考えても、満足しているよう。
【大陽光発電でオール電化】
以前は15000円前後の光熱費を支払っていた瀬長さん。ボイラーを使用していたので石油代がかかり、電気料金、ガス料金もそれぞれに発生していた。
オール電化にしてからは、3月使用分が6871円、4月使用分が8943円なので、単純計算しても、その差は半分弱。そのうえ、太陽光発電システムで売れた電気は、最初のひと月で16080円。公共料金が半分弱安くなった上に、電力会社から売電料金が振り込まれる。
ご主人曰く「初期投資には費用がかかりますが、長い目でみればオール電化にした方が良いですよ。お勧めです」。
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設計:キシモト建築設計室
規模:RC造2階建て
建築面積:106.24㎡(32坪)
延床面積:143.90㎡(44坪)
建築:琉幸建設(株)
電気設備(全般):南光電気
太陽光発電システム:海邦電気工事
キッチン:トステム
設計期間:約2年
工事期間:平成21年7月4日~平成22年2月26日
総工事費:約3800万円(建築工事費+システムキッチン140万円+太陽光発電装置240万円含む)




































































































