久友設計<うるま市>

 

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【趣味の絵が高じて設計士を志す】

~“画家は食えない”と思っていた~

 絵が趣味で設計士を志し、九州共立大学の建築科へ進学する。卒業後は1年程父親の会社で現場(施工)の仕事に携わり、3ヵ年設計事務所に勤めた。その後、27歳で一級建築士免許を取得して独立。趣味の域を超えた絵心は、完成図を描く“スケッチ”に生かされて、イメージし易いと好評である。「スケッチの中に人を描けば、だいたいスケールは分かってくるんですよ」と久田さんは言う。

 現在は、宜野湾事務所が2人、うるま事務所が10人の合計12人で案件をこなし、請け負う仕事の割合は50%が住宅で、商業店舗、公共施設など多岐に亘る。去年の実績を見ると、設計監理が41件と精力的に活動を続けている。久田さん曰く「今でもスタッフは多いのですが、それにも増して受注件数が多いので、今後も協力してくれる事務所や、正社員を増やしたいと考えています」。

 趣味の絵が高じて設計士になった久田さんに、実際設計士になってからの醍醐味をお伺いした。「建物が形になって残りますよね。住宅の場合は、家主が長期で大事に使ってくれていたり、綺麗に使ってくれている時が嬉しいですね。商業店舗の場合は気軽に遊びにいけるので、行った際に頑張ってくれていると嬉しいです」。

久友設計事務所

 

 

 

 

【デザイナーとしての一面】

~看板屋さんから依頼される看板デザイン~

 設計士として多くの実績を残してきた久田さんだが、デザイナーとして活躍する一面も持ち、知名度の高い看板を多数手がけている。

 通常は、設計事務所が看板屋さんに依頼するが、久友設計の場合はその逆パターンが成り立っている。その経緯についてお伺いした。「たまたま一箇所の看板屋さんからの依頼を受けたのですが、その後紹介で看板組合からも依頼がきたんですよ。設計ができるから、構造計算とかもそのままやってしまうんです。ポール看板というもので、台風の時に倒れないように基礎を作ったり、鉄筋が何本いるかなど計算して図面を引いたりするんです。レイアウトや、会社のロゴマークを作ったりもしますよ。」趣味の域を超えた絵心と、設計デザインや会話の節々に感じとれる柔軟性が、デザイナーというクリエイターとしての才能を発揮する。

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【時代に左右されないのは“シンプル”】

~家主が創りあげる場を提供する~

    「独立して最初に請け負った仕事は保育園でした。そのデザインが流行っていたかは記憶にありませんが、思い入れはありますしデザインに凝っていますね。独立してから5年くらいはデザインをつくり込んでいましたね。どの時代にも左右されないデザインを追及すると“シンプル”になるんです。設計士がつくりすぎると、それに合わせて照明などを買ってこなければいけない。30代の頃の趣味にあっても、60代では趣味が変わってしまうかもしれない。絵を描く場合に例えると、ベースの紙に絵を描くのは家主。家を建てる場合にも、造り上げるのは家主なんです。以前はデザインをつくり込んでいましたが、現在は主役が引き立つような建物をつくることが、設計士の仕事であると思っています。」

 今年の初めに建てた“真っ白な保育園”は、現在の考え方が反映されている。子供達が周囲に花を植えたり、保母さん達が壁に絵を飾りつけたりすることで、その個性が建物に現れているという。

 作風には変化がみられるものの、一つだけ独立当初と変わらないものがあるという。それは5つあるコンセプトの中の一つで、“家族と共に考え、愛着のわく空間”を目指すというものであった。「家主のオリジナルをつくっていきたいという想いがあるものだから、コミュニケーションは充分に取ります。家主も忙しいはずだけど、その方が良いものができる。こまめに打ち合わせを行うため家主の理解も深まるので、完成した家が新聞に掲載される時は、家主が全部説明してくれますよ」

 

【それぞれの家主のオリジナルをつくりたい】

~待ちのようだけど、ソレが攻め~

 「家づくりにおいて、家主が家に合わせようとすると、現在住んでいる住宅を基本にするので、どうしても考えが狭くなりがちです。そこで、“どのような家にしますか”という聞き方ではなく、ライフスタイルを聞くようにしています。そうすることで、家主のライフスタイルにより合う家づくりを提案することができます。

 また、常に家主が喜ぶ “新しい”ことを入れたいと考えています。家主の依頼通りに造ることは、どこの事務所でもできますよね。もちろん家主の意見は第一にあって、尚且つうちの事務所に依頼した意味を持たせたいんです。

 “優しい家”を参考にして、具体的に説明しましょう。この案件の場合、家族に足が不自由な方がいたので、至るところにバリアフリーを施しました。そして、家主が喜ぶ“新しい”仕掛けを入れました。以前の打ち合わせで“奥さんはクリスチャンだと聞いていたので、それを取り入れて、夜になると芝庭に十字架が浮かび上がる工夫を凝らしました。家から外に漏れる明かりを構造体の柱と梁で十字架の形を、芝庭に映すというものでした。奥さんにはずっと内緒にして進めていたので、目にした時はとても喜んでくれたようです。だからと言って、すべての家主がこの方法を取り入れて喜んでくれるわけではありません。当然、各家主によって、喜んでくれる試みは違います。それぞれの家主が喜ぶオリジナルを“新しい”形で取り入れたいと考えています。そのためには、始めからスタンスを決めないで、真っ白な状態で準備している方が良い。“待っているようだけどコレが攻め”、それがうちの事務所のスタンスです。

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 【沖縄の暑さ対策と風通し】

~数年前から外断熱屋根工法を採用~

  「以前は一般的なやり方をしていて、3年前から外断熱に移行しました。外断熱屋根工法とは、屋根の上にスタイロフォームを乗せて、その上をコンクリートで固めます。歩けるようにすることが目的なので、屋根の上にコーティングするコンクリートには鉄筋を入れていません。この方法だと、スラブ部分に直接日光が当たらないので熱を持ちません。

 また、この手法を用いることで、天井のふところ(スラブと天井の間に設けられた空間)がいらなくなり天井が高くなるので、その分の駆体工事費用が浮くんですよ。例えば、3メートルの高さがあったとして、実際はそれ程のスペースはいらないので、2、5メートルにするとします。その場合は、50㎝の駆体工事費が浮きます。物件によっても異なりますが、コスト面から言っても、暑さ対策で言っても、有効であると思っています。

 風通し(換気)に関しても、多くの工夫をしています。南から風を入れて北から抜くという基本的なことに加えて、南側開口を広く、北側の窓を小さくするなど大きさで調整をしたり、一つの空間に“入る”窓と、“出る”窓の最低2つは設置するなどの対策をしています。

 

【動く間取り】

~寝室以外の壁は移動可能~

 久友設計が提案する“可動式”は、これまでの常識を覆して柔軟に変化する間取りを実現している。「最初はタンスを動かすことから始まったんですよ。それが、今では寝室以外は動かしています。」

 近年、久田さんが設計した“浮かぶBOX”や“パノラマハウス”等は、壁や収納が天井からの吊り下げ式になっているので、女性でも子供でも簡単に動かすことができる。この物件に関してはリビングとの仕切り、床の間、テレビボード、3つの子供部屋に隣接した壁も動くので、用途に合わせて間取りを変化させることができる。“お祝”などのイベント時には、別々の個室ではなく、皆が集える広間にすることなどが可能になってくる。後々工事をする必要がないので、追加の工事費用もかかることなく、必要な時に必要なスペースを確保することができる。

 動く間取りには惹かれるものの、その分のコストを懸念すると、「一概には言えませんが、結果的にはそう変わらないと思いますよ。可動式にする分家具工事費用は上がりますが、大まかなボックスをつくれば良いので内部工事費用は下がります。」

 新しい試みを忘れない久田さんは、情報収集してくる家主からのアイディアも取り入れて、“壁から出てくる階段”を現在計画中だという。

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